はりまノマド

西明石「地酒と辺境 はりまのまど」瀬尾亮ブログ

木頭の休日

自然に対する畏れを失ってはいけない、などなどなどと。

現代において自然に対してナメた態度を公の場でとっているとどっかから叱られたりする訳である。

「台風が近づいています」という報道があれば外出の予定を中止して家の中でじっとしたいるのが賢明だとされている。

 

そこにもってきて我が家はこの8月14日15日に高知徳島の方に遊びに行く計画を立てていた。

折しも14日夜から15日にかけて超大型の台風が四国に上陸しそうだという報道。

マメに予報をチェックしつつも、「んー、まあ何とかなるんちゃうん?」と予定をキャンセルすること無く、まあ実際そんなに深く考えることなく。

 台風言うても中心から離れたら暴風雨というほどでもなく、まあ雨はそれなりに降るんだろうけど、建物の中でグダグダしてたらええんちゃうん、みたいな。

 

実際、とにかく行ってしまえっ、という方向性でいたのだけど、直前になっても台風の進路は変わらず接近の日もちょうど14日から15日にかけてのまま。

こりゃ行っても雨見るだけで終わりちゃうん?というのと、もしかしたら土砂崩れとか洪水とかホンマモンの災害に見舞われるかも?と、それなりに良識ある判断も少し加わって結局行くのやめたのだった。

 

結果どうだったか。

この台風10号は四国の西端から広島に上陸したのだが、その頃には勢力も落ち着いていて大きな被害を出すことなく日本海に抜けて、明石近辺での印象は「まあ思ったほどちゃうかったね」程度。

でも木頭は違った。

台風上陸前の14日から徳島県高知県の一部の山間部だけ記録的な豪雨に見舞われ、24時間雨量500㎜と。

これは去年の西日本豪雨の時に大規模浸水した岡山の数字の倍くらいというから、物凄い雨だった筈。

大雨に慣れている木頭の人たちが口々に「エライ雨だった」と言っていたくらいだから、もし自分らそこにいたら恐怖だったのではなかろうか。

行っていたら後悔していたに違いない。

珍しく正しい判断ができた訳である、大人になるということはこういうことか。

 

さて結局、台風翌日も土砂災害など危険かなと行くのを控えて、3日経った18日に日帰りで遊びに行くことに。

台風の時は国道も浸水したというニュースを見たけど、この日は道路状況に問題はなし。

車窓から見る那賀川が常に茶色い濁流で、上流に行けば少しは落ち着くかと思ったけれど、木頭に着いて橋を渡った時も知っている光景と全然違うと山村留学で木頭の子になっている次女が言うくらい。

 支流だったら水量少ないから水も落ち着いているかもと言われたけれど、いやあ、支流の上流も色は茶色ではないけれど足を浸けるだけで押し流されそうな勢い。

おとなしく川沿いのキャンプ場で食事だけした。

 

休日に山にお出かけ、と言うと何かしらレジャー的なものが必要のように思われるけど、結局今回は同級生の女の子を誘って一緒に山村留学センターの寮に行ってダラダラ過ごしただけ。

管理人さん家族の1歳の娘さんと遊ぶことを心から楽しみにしていたようで、その時間がたっぷり取れたらそれで満足という様子だった。

川で泳いだり山に登ったり絶景を眺めて写真撮ったり、そういうトピックがなくても十分。

ゆっくりできたらそれはそれで良かったのだろうけど、台風のおかげで時間が無くなって、結果子どもたちが何を一番大切にしているのかということがよく見えたということかな。