はりまノマド

西明石「地酒と辺境 はりまのまど」瀬尾亮ブログ

東京から関西までの帰途。
青春18切符使って、ちょーっとだけ寄り道。

長野茂田井の武重本家、「御園竹」という酒を飲ませてもらって、たまらない味わいだったので蔵まで来た。
中山道の宿場町。
ここで造られ昔から飲まれて来たという土地で酒を買い、飲むのは格別。

元々酒の味は旅で覚えたようなもの。
二十歳そこそこでゆっくり土地に交わるような旅をしていたら行く先々で縁あって酒を振る舞われる。
その頃は好んで飲んでいた訳ではなかったけれど、後に同じ酒を口にすると土地の記憶が蘇る。
それで長い時間を過ごした沖縄の泡盛を毎日飲むようになったのだった。

そんな流れだったから酒の味だけでなく、飲まれている土地のことを考えて飲みたいと思う。
ほとんどの蔵は先祖代々酒造りをしていて、その味はその土地の日常に入り込んでいた筈だから。
旅をしてると「酒は色々あるけれど、こいつが一番だ」という言葉とともに振る舞われることが多い。

今日訪れた竹重本家のある茂田井という土地はまさに風景と照らし合わせる面白みがあった。
地図だけ見たら内陸の農村地帯の集落と見えたけど、小さいながら趣のある中山道の宿場町。
この小ささが、決して強いクセがある訳ではないけど、他のどこにもないだろう独特な酒の味に似つかわしいと思った。

一生を一つの土地を離れずに過ごすことが珍しくなかった時代なら、年中行事のたびにこの酒を飲んで育ったこの土地の人間は、よその酒を飲んだら「変な酒だ」と思ったのかもしれない。

そんな想像もしてしまう。

またこの味を口にするたびにここの光景を思い浮かべることになるのだろう。

そういう記憶の積み重ねを考えると自分もそれなりに長く生きてきて、長く酒を飲み続けてきたのだなと思う。

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